2026年05月更新
40代IT転職で市場価値をどう判断したか
提示年収に差が出た話は提示年収に差が出る理由に書きました。
ここでは、年収を含めて、何を見て自分の市場価値を判断したかを振り返ります。
活動前は市場価値が分からなかった
社内にいると、評価は社内の物差しで決まります。長くいれば、それなりのポジションにもなります。でも、それが外で通用するのかは、別の話でした。社内評価と市場価値は、たぶん違う。そこが分からないまま、不安だけがありました。
転職活動を始めた最初の頃、エージェントに「私の経験は市場でどう評価されますか」とそのまま聞いたことがあります。「強い部分もありますが、業種によります」という回答で、当然ながら一言では答えが出なかった。転職活動は、その答え合わせの場でもありました。自分の価値を確かめたい、という動機は「なぜ今転職するのか」をどう答えたかにも少し書きましたが、これは面接では言わず、自分の中に持っていた本音です。
スカウト数で測ろうとした
最初に見たのは、スカウトの数でした。登録すると大量に届くので、「需要があるんだ」と最初は思いました。数が多いほど価値が高い、と勘違いしていた時期です。
でも、スカウトの多くは条件での自動送信でした。数は市場価値とイコールではなかったんです。この見極めはスカウトメールは信用できるのかに書きましたが、数十通届いて舞い上がっていたのに、返信してみると多くが定型のリスト案内に変わる、という経験を何度もしました。数より「経歴に触れた本気のスカウトが何通あるか」の方が、価値の参考になりました。
書類通過率で見えたこと
次に見たのが、書類の通過率でした。これはかなり正直な数字でした。通る業界・職種と、通らない業界・職種が、はっきり分かれます。
自分の場合、PM経験が刺さる求人は通りやすく、業種がずれると通りませんでした。書類が通らない時期も長かったです(書類が通らなかった理由)。通過率を業界ごとにメモするようにしてから、「自分はこのパターンが通りやすい」という感触が見えてきました。市場価値は全方位で一律ではなく、刺さる場所に偏っていました。
面接通過率で見えたこと
面接の通過率は、書類とはまた別の情報をくれました。書類は通っても面接で落ちる会社、書類は厳しめでも面接で評価が逆転する会社。面接まで行くと、経歴の数字より、人としての噛み合わせが効いてきます。
ただ、面接の手応えは当てになりませんでした。通ったと思って落ちることも、その逆もある(面接の手応えが当てにならなかった話)。なので、一回ごとの結果ではなく、何社か通した割合で見るようにしました。10社受けて3社通る感覚が見えてきたとき、「面接に進めれば3割は拾える」という前提で動けるようになりました。ならして見ると、自分の通りやすい傾向が浮かびました。
オファー年収という材料
一番具体的な材料は、やはりオファー年収でした。実際にいくらで採ろうとしているか。これは、相手が本気で出した数字です。スカウトや面接の感触より、ずっとはっきりしています。
ただ、提示額は会社によって大きく幅がありました(提示年収に差が出る理由)。同じ経歴で同じポジションでも、出してきた額が100万以上違う会社がありました。一社の数字を市場価値だと思うと、見誤ります。複数のオファーを並べて、その範囲のどこに自分がいるか。そう見ると、市場価値は「点」ではなく「幅」でした。
エージェントの評価
エージェントからの言葉も、参考材料の一つでした。「この経験なら、この業界では強い」「ここは年齢的に厳しいので、別の方向を」こういう率直な話は、自分では気づけない相場観をくれました。
ただ、エージェントによって言うことは違いました。同じ経歴を見て、強気に評価する担当者と、慎重な担当者がいた。一人に「この年齢では厳しいです」と言われて落ち込んだのに、別の担当者に見せたら「いくつか出せますよ」と言われた回があって、そこで一人の評価を全部だと思ってはいけないと気づきました。
なので、複数の声をならして聞きました。アドバイスの扱い方はエージェントを使うべきかにも書いた通りで、全部を真に受けない方がよかったです。
想定とのギャップ
材料を集めて分かったのは、自分の想定と市場評価のズレでした。自分が強みだと思っていた部分が、市場ではそこまで評価されない。逆に、当たり前だと思っていた経験が、思いのほか評価される。この食い違いが、あちこちにありました。
評価されて意外だった経験は想像以上に評価された経験、逆に反応が薄かった経験は逆に評価されなかった経験に分けて書きました。このギャップを知ることが、市場価値を判断するうえで一番の収穫でした。自己評価のままでは、見えなかった部分です。
転職活動を通して見えたこと
最後にたどり着いたのは、「市場価値は一つの数字ではない」という感覚でした。業界が変われば評価が変わる。相手のニーズが変われば値段も変わる。自分は同じでも、置かれる場所で価値は伸び縮みします。
だから、低い評価をもらっても、それが自分の全てではありませんでした。刺さる場所を探す作業、という感覚に近かったです。「この会社には刺さらなかった」と「自分には価値がない」は違う。その区別がついてから、落ちるたびに自己否定する回数が減りました。
この捉え方は理想と現実とも重なります。市場価値を一つの点で測ろうとしていた頃より、ずいぶん気持ちが楽になりました。
まとめ
市場価値を判断するのに使った材料は、
- スカウト数(ただし本気のものに絞って見る)
- 書類通過率(業界ごとに分けると傾向が出る)
- 面接通過率(一回でなく割合で見る)
- オファー年収(点でなく幅で捉える)
- エージェントの評価(複数をならす)
どれか一つでは判断を誤ります。複数の材料を並べて、ようやく自分の輪郭が見えました。そして見えたのは、固定された値段ではなく、場所によって変わる幅でした。市場価値が分からない不安は、動いて材料を集めることでしか解けませんでした。
評価のギャップは想像以上に評価された経験と逆に評価されなかった経験にまとめています。
本記事は筆者の実体験をもとに書いています。転職エージェントや採用担当者の公式見解ではありません。
